ポプテピピック考察遊び
#ポプテピピック考察班 というTwitterタグの存在を知ったのは、確か三話が放映されていたくらいの頃だったと思う。最初は「なんにでも面白くとらえる人はいるもんだな」と、軽く流していたものの、八話をきっかけに再度読み返すと、かなりの説得力を持って「ポプテピピックループもの説」が語られていたものだから、伏線考察好きとしては黙っていられない。
ツイートも人生で初めて三桁RTされたし、それに味を占めてポプテピの世界観とその行く末を考察(ほぼ妄想)してみようと思う
「こんなあにめにまじになっちゃってどうするの」という声が聞こえるが、元ネタのたけしの挑戦状からして、全クリすれば人に誇れるゲームである。楽しんだもん勝ちだ。
というわけで、クソアニメに鏤められた伏線に気づいていこうじゃないか
まずは、「そもそもなんでポプテピピックがループものって言われてんの?」という話から始めなくてはなるまい。
全ては第一話でピピ美から「リセマラ」という単語が出たことに始まる。
ソシャゲユーザーには耳慣れた言葉だが、「好きなものが出るまでリセットし続ける」という行為が、「話のたびに声優から世界観まですべてがリセットされる」ポプテピピックの世界を表しているという考察から始まり、「ならばピピ美はなぜリセットしているの?」「以前の百合考察を鑑みるにポプ子のためじゃないか」という感じで、まずはループ説が広がっていった。
その後、「ボブネミミッミがずっと新番組なのは世界がループしているから」「次回予告だけがきちんと前に進んでいるのは、あれがループしていない正常な時間軸だから」「OP歌詞がそもそもループものっぽい」などなど、さまざまな補強を経て、定説になるに至っている。
特にオープニングは顕著で、「次の世界で待っているから」とか「パラレルワールド旅して」とか、ループものよりループものしている。
というか、”ループものっぽい歌”ってそもそも存在しえないのかもしれない。ネタバレになっちゃうからね。
話が逸れた。全エピソードに触れているといくら書いても終わらないので、この記事では主に、”表題になっているエピソード”、”OP歌詞”、”ED前のエピソード”で、考察を進めようと思う。
・表題エピソード
・第一話 「出会い」
全ての始まり。リセマラという単語で考察班を生み出した原因。表題エピソード中に世界観が変わっている唯一の例である。
どうやらピピ美と敵対しているらしき「委員会」の存在、OPにも登場する「箱庭」というワード。考察班を燃え上がらせる様々な要素を兼ね備えている。
このエピソードラストでピピ美が助けに来るまで、ポプ子は「マクベスの箱庭」なる機械の中にいたらしい。となれば、脱出以前のばらついたエピソード群はマクベスの箱庭内の出来事と取るべきだろう。
さて、そのエピソード群なのだが、基本的にポプ子が死ぬことで終わる。そしてその次のエピソードはポプ子が目を覚ます(あるいは開く)描写に始まる。で、この法則に当てはまらないものにはノイズがかかっている。当てはまらないものがある時点で考察的にはアウトだが、ノイズがかかっているので、「マクベスの箱庭」のなかで、なにか例外的な処理が行われていたと考えることにしよう。
ところで、委員会はなぜポプ子を捕らえていたのだろう。
理由はアニメ内で描写されており、曰く、「クソ四コマをそのままアニメにするなど、許すわけにはいかない」とのこと。
どうやら委員会はこのアニメに関する権限を持っているらしい。「アニメ製作委員会」なのである。
しかし、これを「ポプテピピックの制作委員会」ととらえるのは早計である。なぜならポプテピピックには製作委員会が存在しないからだ。(キングレコードの一社提供)
となればこの委員会は、星色ガールドロップの製作である「銀河原高校手芸部」と同一であるととらえることができそうだ。彼らはガールドロップを覇権にするためにポプ子を捕らえていたらしい。
委員会が脅威に思っているポプ子の性質とはなんなのか。それは「ラプラスの箱庭」とは何なのかを考えることで見えてくる。
ポプ子はギャグ四コマの世界の住人である。いわゆるきらら四コマとは違い、彼女たちは明確なストーリーを持たない。
その性質故か、ポプ子は自身が死亡することでその世界戦を終わらせてしまう性質(爆発オチや死亡オチの類)があるのではないか。
ポプ子はいくら死んでも次の四コマでは生き返る。しかしポプ子が死んでしまった世界はその時点で終了してしまう。主人公がいないのだから。
委員会はポプ子の「物語を終わらせる性質」を止めるため、ラプラスの箱庭を用意する。要するに「ポプ子がいくらでも壊してもいい架空の世界を提供する」という対抗策を作り、きちんとストーリーを持った星色ガールドロップを覇権アニメに押していた。
対するピピ美は、委員会の手からポプ子を救い出し、世界観リセマラを開始する。
雷にすら怒り狂うポプ子が、死ぬことなく平穏に過ごすことができる世界を探し始めたのである。
ポプ子がいなくなった世界は停止するので、多くの世界を犠牲にした旅であった。
すでにだいぶ妄想入ってるが、付き合える方だけついてきてくれ・・・
・第二話「異次元遊戯ヴァンブー」
タイトルを入力してるときに「ヴァンブー」が竹書房ネタだということに気づいたが、考察には多分絡まないので置いておこう。
委員会から脱出した二人は、さっそく別世界へ移動する。しかしまだ委員会の力が残っているのか、(未完成とはいえ)正統派なアニメの世界である。
しばらくその辺のキャラをいじって遊ぶものの、現実(声優)≒委員会の干渉で世界線が終了したため、次の世界へ
・第三話「ザ・ドキュメント」
強烈なキャラのポプ子ならアイドルやれるんじゃないかとでも思ったのか、この世界線ではポプ子をアイドルに据えることにしたらしい。
案の定破綻したため、クローンポプちんを作ってやりたい放題始める。
そこそこ楽しんでいたようだが、安住しなかったのは文明が滅びて生活できなかったからだろうか?
あほみたいな量のポプちんを残して次の世界線へ。この世界線は「終」の文字とともに消滅。次行ってみよう
・第四話「SWGP2018」
スポーツをやらせてみる。ポプ子が活躍できるように不条理なのをチョイス。
もともとが不条理な世界線のため適合を見せるが、最終的にはポプ子がこの世界以上に不条理な存在のためギリ適合できず。飛行機に変形して次の世界線へ
この世界もTHE ENDとともに消滅
・第五話「イモ☆ヨバ」
ここでもう一度、委員会の手が入ったと思われる(まともにストーリーのある)世界線へ。
途中、二人が殺されかけるものの、先輩の介入もありなかったことに。
・第六話「第三十期電脳戦」
前回殺されかけたことに危機感を感じたのか、ピピ美がポプ子を強化する方向に。
フィジカルはあるので、ロジカルな方向を鍛えようとしたのかもしれない。
ポプ子はギャグマンガの存在であるがゆえに、ガンガン突っ込んでガンガン死ぬ。
ピピ美の望みはポプ子が安住できる世界線を探し出すこと。
ポプ子が極力死なないように、思考力を与えたのかもしれない。
・第七話「ヘルシェイク矢野」
まともな考察をするのが最も難しい話。
内容も「ピピ美がヘルシェイク矢野なる人物を考えてる」というだけなので、意味を持たせる方が難しい。正直意味なんかないと思う。
ただ、それでも強引に意味を持たせようとするなら、
・あのピピ美が、ポプ子の話を聞いていないという珍しい状況
・二話と同じく現実が絡んでくる
・(画風はともかく)ヘルシェイク矢野の話自体は王道の展開
ということから、「つかの間の日常を楽しみながらも、委員会の策略や干渉について考えずにはいられないピピ美の暗喩である」ととらえることができなくはないのかもしれない。
・第八話「飯田橋の昇竜~逆襲のピピ~」
世界観リセマラを繰り返した結果、ポプ子が最も活躍できそうな仁侠映画っぽい世界線を引き当てることに成功したピピ美。心なしか食堂でポプ子を見る目が嬉しそうである。
注目すべきは、今まで渡り歩いてきたどの世界線よりも長居しているということだ。
ポプ子が消える以外にも、ピピ美には世界線を渡り歩く手段はあるはず(前述の世界線を移動するためにピピ美がわざわざポプ子を殺したとも思えないし)なので、ポプ子が出所するまで待つくらいにはこの世界に期待していたのだろう。そして期待通り、この世界ではポプ子が尋常じゃないほど活躍する。
ポプ子は平穏な世界ではなく、やくざの絡むような剣呑な世界でこそ輝く。そして何よりポプ子は明らかに破壊を楽しんでいる。ピピ美はこの世界に大きな期待をしていたはずである。
竹生会がユーチューバーに手を出し、ポプ子たちの敵に回る。その場で暴れまわろうとするポプ子をピピ美が止める。
原作を読んだ方ならご存じだろうが、この時の「ステイステイ」というセリフには、対になる「今だいけ!ゴーゴー!」というセリフがある
ピピ美はおそらく、よりポプ子が破壊を楽しめる状況、より彼女が彼女らしくあれる状況を作ろうとしたのだろう。さらに状況が進み、ポプ子が大活躍できるような状況で、満を持してゴーサインを出すつもりだったに違いない。それは彼女の気遣いであり、同時にこの世界に長居しすぎたゆえの慢心でもあった。
状況が整うより先に、ポプ子は一人でいるところを狙われ、凶弾に倒れてしまう。
この時点でピピ美は、ポプ子を生き返らせるしかない。しかし既にポプ子が死んでしまった以上、この世界線にとどまることはできない。
もし、叔父貴に決別を言い渡した時点でポプ子を開放していれば、まだこの最もポプ子に合った世界で生きていけたかもしれない。しかし自らの決断ミスでその機会は永遠に消滅した。
「どこで間違えたんかのう・・・」
ピピ美は自嘲気味につぶやく。ポプ子が生き返らなければ、この世界はまだ続くだろう。しかしピピ美にとって、彼女のいないこの世界に用はない。
かくして、ポプ子を生き返らせたピピ美は、次の世界へと進む。古い世界に爆発落ちというエンドマークを打って・・・
さっきから俺は何を言ってるんだ・・・
・このあと・・・
この記事を書いている現在、ポプテピピックは八話まで放映されている。正確にはあと一時間ほどで九話が始まるので、九話が書き足されていたら改定があったと思ってほしい。書き足されていなかった場合、あきらめたんだなと思ってほしい。
九話以降のイメージ絵が(たしかハンドバックだっけ?)ネタバレされてるので、それに少し触れると、
九話→不良と女生徒らしき風貌。ポプ子が笑顔
十話→女将とキャバ嬢。ポプ子が笑顔
十一話→幽霊とキョンシー。ポプ子の表情が死んでる。
十二話→一話と同じくいつもの制服、の姿をした黄金の像
正直どうなるのかは全くわからない。Twitterで不穏とか言ったけど、黄金の像がメインビジュアルであることの何が不安なんだ。一度チェスと将棋の駒になっているのに。
・・・自問自答して気が付いた。死んだ後に像になってるからだ。限りなく墓のイメージに近いから・・・
・OPの歌詞
わからんことはわからんで置いておくとして、ちょっとOP歌詞の話をしてから、ED前エピソードの話をする。
OP歌詞に「スピログラフ」という単語がある。
スピログラフを知らない人に説明すると、まるい歯車みたいのをぐるぐる回して、幾何学的な模様を描くっていうシンプルな遊びである。
細長い楕円形がいくつも折り重なって一つの図形になるさまが、ポプテピピック世界におけるループするパラレルワールドの暗喩じゃないかという考察もある。13話は一話につながるものになるはずだという話もある。
しかしスピログラフの原理上、最終話からすぐに一話につながるというのは少し納得しにくい。スピログラフは行った後に戻ってきて、そして少し違うところに到着するものである以上、戻ってくる過程が描写されていてほしい。
しかし、既に話数は半分を切っている。戻ってくる様が描写される可能性は少ないだろう。そう考えていた。
しかし、そこでふと思いついた。ポプテピピックには、一話につきいくつものエピソードがあるのである。その中に時間の流れを逆走しているエピソードがあるのではないか。
つまり、ポプテピピックの大筋は1話→12話という流れだが、例外的に12話から1話にむかって進んでいるエピソードがあるのではないか。そしてもしそれがあるとすれば、ED前のポプ子が一人になるエピソード群。これしかない。
ここから先は、ED前のエピソードが逆順で進んでるものとして話を進める。その場合どのような物語が紡がれるのか。
もはや考察ではないが、もうしばらく付き合ってくれ。
・ED前エピソード群
「12話から1話にむけて時間が流れる」という仮説の都合上、最新話に近いものほど情報が足りないので、軽く流す。ご理解いただきたい。
なおこのエピソード群、何かをしてる、もしくはしようとしてる最中で終わることがめちゃくちゃ多いので、基本的にその時点でやろうとしていたことは完遂されたものとして扱う。
・八話~六話
なんらかの原因でピピ美がいなくなった世界線。ポプ子は桜の木をおちょくったり、ピピ美の出てくるゲームを遊んだりしながら一人の時間を埋めていた。
・五話
そんなある日、彼女はピピ美と同じ声をしたウサギを見つける。普段ならファンシーなキャラクターになど見向きもしない彼女だが、何かのヒントになるかもしれないとウサギを追いかける。
・四話
ウサギを捕まえて何かのヒントをつかんだポプ子は、行動を開始する。しかしここでメリーさんから電話がかかってくる(メリーさんはヘルシェイク矢野と同じくストーリーを持った存在であるため、委員会が関わっていると仮定する)。ポプ子の邪魔をしようとするメリーさんだが、ポプ子にとってはむしろ好都合であり、ピピ美を救うヒントを得ようとメリーさんを探し出す。
・三話
ピピ美がいない原因を突き止めたポプ子は、その原因らしき存在→鳩時計を破壊する。
・二話
遂にピピ美と再会することができたポプ子、二人して大爆笑しているところを見ると、久しぶりの会話に花を咲かせていたらしい。
しかしここで急にピピ美が「私が先に大人になったらどうするか考えておいて」と言ったことで、状況が一転する。
この言葉の意味するところは何か?
先ほどから繰り返し語っているように、ポプ子には世界線を終了させる力がある。
二人だけの平和な日常を得ることができた二人だが、この世界も永遠ではない。
ピピ美が死ぬかもしれないし、ポプ子が死んで終わりになるかもしれない。しかしピピ美は今までの世界線での経験からある決断を下したのである。
「リセマラの終了」である。
二人がセーラー服を着た最も平和な世界線に、彼女は骨をうずめることに決めた。
それはどちらかが寿命を迎えたら、彼女たちの物語が終了することを意味する。
もしポプ子が死んでも、彼女は世界観を移動することなく、ポプ子と過ごしたこの世界線とともに死ぬことを選んだのである。
ポプ子は次の世界線で生き返ることができる。しかし、次の世界線にピピ美はいない。
「先に大人になってしまう」ピピ美に狼狽を隠せないポプ子。
しかし、彼女はある一つの決断をする。
・一話
ギャグマンガの存在でありながら、一つの世界に留まり続けた結果、既に世界は崩れ始めていた。(AC部に失礼かもしれないけど)
既にいつ終了してもおかしくないこの世界線で、ポプ子は唐突にピピ美を殴りだす。
そして、トラックに詰め込んで、ピピ美をどこか遠くへ送るポプ子
ポプ子は、ピピ美の願いを聞き届けることがどうしてもできなかった。たとえどんなに自分に合わない世界線であろうと、ピピ美と一緒に過ごすことが彼女の願いだった。
しかし自らのわがままにピピ美をつきあわせてしまうことに罪悪感を感じたポプ子は、一つピピ美に質問をする。
その質問に対して、ピピ美はポプ子がどれだけ悩んだ末に選択したかを察し、優しく声をかける。
その問答こそが
「怒った?」
「怒ってないよ」
である。
・終わりに
今横で九話が終わった。
文字数が6500字を超えたわけだが、頼む。誰か止めてくれ